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〒781-2116

高知県吾川郡いの町柳町142

 088-893-3400

吉良修の木工

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漆[うるし]
 このサイトで漆と表示してあるものは拭き漆と呼ばれるものです。自動車のワックスがけと同じで、塗っては拭くを繰り返します。通常6,7回行います。漆は紫外線に弱く、本来書院造りのような暗い空間で使うものです。日当たりの良い部屋では一、二年で劣化してきます。スプーンのようなものは耐摩耗性の強い塗漆を使っています。
 
オイル
 オイル仕上げも植物性のオイルを、塗っては拭くを繰り返すもので、西洋版拭き漆のように思われていますが、日本古来よりあったものです。時間とともに自然な風合いになってきます。ただ濡れたグラス等を一晩放置しますと、シミを発生することがあります。しかしそれも時間と共に目立たなくなります。ただ気を付けたいのは鉄瓶等で、特に栗の木は鉄分と反応し真っ黒くなります。
テーブル等には防水性を強化するために、ロウを含んだオイルを上塗りに使います。
 
角の処理[かどのしょり]
 たまに「子供がいるのでテーブルの角を丸めてほしい」と言われます。角は非常に重要で、丸めるとそこから知性というか、品格というか、逃げて行ってしまいます。何となくホームセンターで売っているカントリー調の家具になってしまいます。子供はすぐ大きくなりますし、角に当たれば痛いものだと学ばなければなりません。
知人の家では通路に面したテーブルの角に、布とガムテープでパットを作っていました。酔った親父が世話になることが多いようです。外国ではそのようなものを売っています。
 
金具[かなぐ]
 李朝家具に使われている金具は全て自作です。鉄や真鍮で出来ています。京都にでも住んでいれば、外注出来ますが、近所にそのような加工をする所はありません。元々、金属彫刻をしていたので、すぐに出来るようになりました。昔取った杵柄で、楽しかろうと期待していたのですが、そうではありませんでした。デザインが大変なのです。大きな箪笥も、小さな金具一つで出来、不出来が決定されます。ならば、じっくり考えれば良いと思われるでしょうが、結局我々木工家は、額に汗してなんぼの商売です。考えてる時間はお金に換算されません。非常に焦ってしまうわけです。本来ならば、儒教や仏教も勉強して、意匠のルーツ等も調べるべきでしょう。それは追々することにします。最初は、厚紙を切り抜いて張り付け、形や大きさ、位置等を検討します。
 
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乾燥[かんそう]    
 材料の乾燥は仕事をスムーズに進める上で重要です。一寸(3cm)につき1年の自然乾燥が必要とされています。ただし太い柱等は、何年置いても乾くものではないと言う人もいます。通常、自然乾燥の後、人工乾燥をします。
名人になると『材料が揃って、乾燥が終われば出来たも同じ』と言いますが、私も近頃同感です。これは私の腕が良いと言う訳ではなくて、木工においては材料の段取りが殆ど全てだからです。よって、いくら忙しくても、5年、10年先を見越しての手配は欠かせません。
   
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▲蟻掛け吸い付き
 
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▲蟻形組み接ぎ
   
木組み[きぐみ]  
 李朝家具の金物は別にして、また補助的に木ネジ等使うこともありますが、殆どは木組みによる接合です。

蟻掛け吸い付き:
テーブル等の天板を止めるのに使います。
木材の伸縮に対応してスライドするように出来ています。
よって接着剤は使いません。

蟻形組み接ぎ:
やや手間がかかりますが、強度が高く意匠的にも優れた技法です。
 
     
材料[ざいりょう]
 材料の種類は、高知県が雑木の種類が豊富なせいか、倉庫にあるだけで十種類以上あります。ケヤキ、栃、栗、タモ、桂、山桜、樺、楢、栓、朴、楓、楠等です。それぞれに強度的にもデザイン的にも使い方があります。だから定番商品を除くとほとんど一品物です。外国産の材は、好きでないので使いません。女の人は別です。
よく材料が先か、デザインが先かと聞かれますが、材料が先の場合が多いです。というのも、定番の椅子やテーブル用に規格化してストックしている材もありますが、不定形の材がほとんどです。大きさや木目等、考慮して適材適所を心掛けています。困難な形でも工房の片隅に立て掛けて、一ヶ月から一年もすると良い使い道が見つかります。
 
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ダイニングチェアー
 食事や仕事をするための椅子です。ダイニングチェア−の原点は、よく映画で見かけますが、お城の大広間で一族が集まって食事している、背の高い椅子でしょう。背もたれは垂直で、座面が高く、奥行きは短いです。背筋を伸ばした姿勢が要求されます。現代の使用を考えるとやや無理があります。
 
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 椅子のプロポーションは、ダイニングチェア−から寝椅子に移行する過程で、座面は低く、長くなり、背もたれも長く、寝てきます。
現代のダイニングチェア−は喫茶用の椅子と言えるにではないでしょうか。だらしなく座ることも可能です。私はこの喫茶用の椅子と、本来のダイニングチェア−との中間の椅子をお客様の要望により作り分けています。仕事をするなら、中間のタイプが良いでしょう。
もちろん家族の身長も考慮します。これは難しい問題ですが。
 
ダイニングテーブル
 ダイニングテーブルは比較的発注の多いもので、その基本的考え方です。

〈天板のサイズ〉
・幅
1200〜4000まで発注が可能です。一人分の幅は600といわれていますので、1800なら片側三人が座れます。家族の人数よりも部屋のサイズによって決めた方が良いと思います。例えば家族が二三人でも、空間にゆとりがあれば、1800位のものを置いた方が良いでしょう。

・奥行き
通常フルサイズのものは900になっていますが、日本人の体格を考えますと850辺りが良いのではないでしょうか。ランチョンマットを使っても適度なゆとりがあります。部屋が狭ければ750〜800でも構わないように思います。

・天板の厚み
私は28ミリを現在、標準としています。30ミリでもよいのですが、在庫の板の都合です。シェーカーのテーブルは桜やカエデといった比較的堅い材を使用しているせいか、1インチ、25ミリが標準です。
分厚い一枚板のテーブルを見かけますが、重い天板を上に持ってくることは基本的におかしく、地震のことを考えれば危険です。座卓に使うべきです。
先日38ミリ厚の豪華仕様のテーブルを作りました。少々厚すぎると思ったので下端を削りました。脚もそれなりに太くしています。椅子を持ってきて座ってみますと、我ながら「こりゃいいわ」と思いました。ただし存在感がありすぎて家を選ぶでしょう。

〈脚について〉
・オーソドックスな4本足
もしシンプルな4本足のダイニングテーブルなら足の太さや取り付け位置等は、美しいプロポーションを求めるなら、既にミリ単位で決まっています。
普通、家具屋は脚や幕板が、側面より何ミリ奥まったところにあれば良いか、気にしていません。実はこのオーバーハングが椅子でも、テーブルでも最も重要です。脚が外寄りに付いていれば、尊大な印象を受けますし、内寄りですと不安定で貧相になります。あまり知られてないポイントです。
材料が良ければテーブルに小細工は必要ないでしょう。
 
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・二本足のテーブル
このタイプの製作は、お客様の発注によるものです。当初、やや奇抜な印象を受けることと、強度的な不安があったので躊躇していました。実際には強度は4本足のテーブルよりあり、正確な柄加工等木工家の腕の見せ所があります。片側に大人3人が乗っても大丈夫です。なによりの長所は幕板がないので、膝を組んでもあたりません。スッキリしています。また足元は掃除機がかけやすいです。
そんな訳で、近頃作るのはこのタイプばかりです。どうして市販品に見かけないかと思いますが、材料の吟味も必要ですし、ホゾの微調整が欠かせませんので、量産には向かないのかもしれません。
 
▼二本足の種類
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A:貫が上部にあり、スッキリしてモダンな印象を受けます。   B:貫を中央にして、くさびで固定してあります。ややカントリー調になります。天板の厚いタイプに似合います。
 
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契り[ちぎり]    
 本来は割れを止めたり、接合強度を高めたりするのに使いますが、接着剤の改良によって、ブックマッチング等の場合は装飾的要素が強くなっています。
座卓にこれを施す場合は、何種類かの型紙を実際に置いて決定します。手間のかかる作業で、小さな5個の契りを入れるより、大きめの4個を入れるほうが、当然楽なのですが、そこは易きに流されないように判断します。仕上りを左右する重要なポイントだからです。しかし、時には全く入れない勇気も必要です。
板によっては、契りと板の境界線を三角刀で突いたりもします。立体感が出ます。鉄アレイ型の契りは、モダンな印象で、洋間にも合います。
   
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ナチュラルベンディング

ナチュラルベンディングとは私の造語で、英語的には不自然らしいです。

 通常、広葉樹から薄板を採る場合、厚く挽いて乾燥させた後にさらに製材する方法をとります。乾燥による反りを抑えるためです。

 ナチュラルベンディングは薄く挽いた板を、立てかけて風雨にさらし、自然に反らせた板を作ることです。

 この反った板をそのまま利用して家具を作ります。世界でも、積極的に使うのは初めてだと思います

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ブックマッチング
 簡単に言えば、板を半分に割って、開きくっつけることです。図のようになります。
木目が左右対称になりますので面白い効果をうみます。私は座卓に良く利用します。幅広の一枚板が手に入りにくい今日有り難い技法です。ただ一本の丸太から二組しか採れません。 ジョージ・ナカシマの考案と思い込んでいる人もいますが、日本古来より存在していて、正倉院宝物の赤漆文勸木厨子等はその好例です。ただこの厨子の制作された時代、ノコギリはなく、複雑な杢のある板をどうやって半分に割ったのか、専門科でも意見が別れているようです。
 
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耳付きの板[みみつきのいた]
 耳付きの板とは、側面に樹木の表皮の部分を残した板のことです。このような板を使って、一般の家具屋も一枚板のテーブル等、売り出してきました。私の場合も使うことはあるのですが、余程デザイン的に面白いとか、まとまっていないと使いません。確かに材料を無駄なく使うという点では理にかなっているのですが、下手をすると安手の温泉宿のようになってしまいます。 また懐石のような正式な席には使いにくいものです。しかも、楢や栗といった木の白太(外側の白っぽい部分、辺材ともいう)はもろくて腐り易く、これらを使うことは論外ですが、実際見かけたことがあります。逆に栃やカエデといった木は、この白太の部分がトロにあたり、中心の赤身は使えません。耳付きの家具を買われる時は、じっくり検討して下さい。
 
 
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